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大須賀めぐみが描く狂気的で猟奇的な演劇マンガ マチネとソワレ

「兄より優れた弟なんて存在しねぇ」

とは、北斗の拳のジャギ様のお言葉ですが、どうやら、研究でもジャギ様理論が正しい(兄の方が優秀)みたいな結果が出てるみたいなんですよ。

GIGAZINEさんが超簡単にまとめてくれてます。

長男・長女が優れた成績を残しやすい理由かもしれない6つの理論

First Children Are Smarter—but Why?

とまぁ、基本的に長男・長女が優秀らしんですよ。

でも、個人的というか、僕の周りだけの話をすれば大概、弟・妹の方が世間的に見て優秀な人が多いイメージ。類は友を呼ぶ的な感じかも知れんが、とにかく、下の方が優秀。僕含めて。特に、僕なんてやりたいことやって、それ以外やりたくない症候群なもんでクソ野郎なんですよ笑。いつもぷらぷらしてるし笑。

うちは、こうやってこのサイト一緒にやってるくらいだから、兄弟仲めちゃいいですけど、やっぱり比較されたりしてすごくやな思いしたり、仲悪かったり、兄弟姉妹って色々な形があるなーと感じるわけです。はい。

『マチネとソワレ』

なんでこんな前置きしてるんだって話だけど、今日紹介するマンガ『マチネとソワレ』が兄弟の話なわけです。
想像妊娠しちゃうレベルの役者基地外の兄貴”に”うんこを一万円札で拭く”が挑む“演じる”という人生の話。

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まぁ、何言ってるかわからないかもしれんのでまじめにあらすじでも...

主人公・三ツ谷誠は、死んだ兄・三ツ谷御幸という天才役者の2号と呼ばれていた。
駆け出しの役者をしている誠は、誰からも認められないことが悔しくて仕方なかった。そんな誠に大チャンスが訪れる。世界的脚本・演出家の新作『バニラフィクション』の主演に抜擢されたのだ。これで世間に“三ツ谷誠”として認められる、見返してやれると感じていた。
しかし、運命は残酷だ。
世間に発表があった直後、謎の現象に見舞われる。自分が死に、兄が生きている世界に迷い込んだ誠は、己の承認欲求と兄への対抗心を胸に「生きていく」

結構、まじめにあらすじ書いてみたんだけど、読みたくなってくれたら幸い。

とりあえず、作者の大須賀めぐみさんの紹介もちょろっとだけ。
2002年に小学館少年サンデーR増刊『トンパチ』にてデビュー。
2007年週刊少年サンデー27号から2009年30号まで『魔王 JUVENILE REMIX』(原作・伊坂幸太郎)連載。その後、同スピンオフの『Walts』を同年『ゲッサン』11月号から2012年3月まで連載した。
同年『ゲッサン』9月号から2016年3月号まで『VANILLA FICTION』を連載した。
今回の『マチネとソワレ』は2016年12月号より連載している。

僕が大須賀めぐみさんのマンガを知ったのは、『魔王 JUVENILE RIMIX』だ。当時中学生だった僕は登場人物たちのキャラに惹かれた。強烈な眼力に、演技がかった表情・動き。それら全てに惹かれた。マンガを読み終えた、僕は次に原作の小説を読んだ。僕が初めて伊坂幸太郎さんの小説を読んだのはこの時だ。まず思った、小説が面白いと。演技がかった登場人物たちは伊坂さんが文章で生み出したキャラだった。それをマンガにすることで、より情報が増え、濃厚なキャラを描いていた。とにかく僕はそこに惹かれた。

そして、今回の『マチネとソワレ』だ。これより以前の作品も読んでいるが、今回は割愛。ちょっと演劇とか舞台とかを知っている人なら、このタイトルを見ただけで、どう言うカテゴリかわかると思う。知らない人のために説明すると、演劇とか舞台って言うのは、1日に午前・午後で2回公演することが多々ある。そういった公演の時に使われる言葉で、午前の舞台を”マチネ”と呼び、午後の舞台を”ソワレ”と呼ぶ。ちなみに、オシャンな街パリが首都のフランス語だ。

誠が生きていて、御幸が死んでいる世界。

誠が死んでいて、御幸が生きている世界。

そういう意味のタイトル。

やるかやらないかの二択だろ?

とにかく、このマンガは狂ってるやつしか出てこない。あ、大須賀さんのマンガってだいたい狂ったやつしか出てこないや。いや、とにかく、狂ってるんだけど、血が通ってる。一人の人間としてそこに存在する。正直、生のリアルがある。着飾ったキャラクターなんていない。今その瞬間に魂燃やしてる。表情や身振り手振り。演劇のマンガだからってわけじゃなくて、僕らリアルに生きている人間のように演じてる。僕らの人生だってそうだろ?大概、自分を押し殺してなきゃ生きていけない。一般人なんて、ちょっと自分出しただけで周りから浮いて生きづらくなる。

でもさ、こいつらは違うんだよ。そのせいで、こっちまで、神経ズタボロになってきやがる。

そう、大須賀めぐみワールド全開で、こっちをぶん殴ってくる。今までの作品に比べたらバイオレンスさが少ないという意見も多少あるみたいだが、そんなこと1ミリだって感じない。『マチネとソワレ』の方が圧倒的バイオレンス。出てくるやつら全員で読者の脳みそに直接鈍器を振り下ろしてくる。

”演劇や舞台の話が読みたいなー”って生半可な気持ちで読み始めると間違いなくやられる。

”あぁ、怖いのなら読むのやめよう”なんて考えるな。読んでぶん殴られろ。そんで、自分の怠惰な日常を壊してもらえ。

このマンガは天才の怪物兄貴をほどほどの天才の弟が役者としてぶっ●しにいくマンガだ。

才能っていう壁は確かに厚いと思う。僕らが何か成し遂げようとするとき付きまとうものだ。でもさ、結局、誰にだって言えることなんだけど、やるかやらないかの二択。努力の前にこの二択で考えなきゃ。持たざるべき人が何か成し遂げるには必要なものを自分に身につけていく中で、いらないものはどんどん削っていった先に成し遂げられるもの。

だから、どんなことでもやるやらないの決断がとても大事。

それが『マチネとソワレ』では描かれている。

読むべきマンガだ。

そんで、この記事も合わせて読んでほしい。
『左ききのエレン』あればいいよね、才能ってやつは。


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